2011年03月28日
専業主婦と年金分割
こんにちは。
“おかあさん目線”の幸せ夫婦コーディネーター なかにし ゆり です。
前回、離婚時の年金分割について、年金のしくみも含めてお話しました。
年金分割の制度は誤解されていることが多く
「将来夫がもらえる年金の半分を、離婚成立時に受け取れるもの」
と勘違いしている人も少なくありません。
どうやら「離婚する妻のためのお得な制度」というイメージが、一人歩きしているようです。
“おかあさん目線”の幸せ夫婦コーディネーター なかにし ゆり です。
前回、離婚時の年金分割について、年金のしくみも含めてお話しました。
年金分割の制度は誤解されていることが多く
「将来夫がもらえる年金の半分を、離婚成立時に受け取れるもの」
と勘違いしている人も少なくありません。
どうやら「離婚する妻のためのお得な制度」というイメージが、一人歩きしているようです。
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年金分割には、2つの制度があります。
1つ目の制度は、平成19年の4月に始まった、合意による年金分割で
もう1つは翌年の4月に始まった「3号分割」とよばれる制度です。
一組の夫婦の年金分割に
2つの制度が関わってくるというのは、何だかややこしい話ですね。
それでは前回のA子さんご夫婦を例に
この2つの制度について説明してみたいと思います。
A子さんは専業主婦です。
夫は民間の会社に勤める、サラリーマン。
夫は勤務先で厚生年金に加入している第2号被保険者で
A子さんは2号の夫に扶養されている、第3号被保険者でしたね。
まず、A子さんご夫婦の結婚している期間を
平成20年4月1日を境にして、2つに分けます。
平成20年4月1日以降を「期間A」
それより前(つまり結婚してから、平成20年3月31日までのことです)
を「期間B」とします。
図にしてみると、わかりやすいと思いますよ。
まずは、期間A。
この期間については、「3号分割」と呼ばれる制度が適用されます。
3号分割の制度によって、A子さんは、どんなに夫が嫌だと言っても
有無を言わさず2分の1を分割してもらえます。
2分の1といっても、分割できるのは「報酬比例部分」のみ。
覚えていますか?
2階建てでいうところの、2階部分のことですよ?
ところで「3号分割」の3号って、何の事だかわかりますか?
そうです。
第3号被保険者のことなんです。
3号分割の恩恵を受けられるのは、第3号被保険者だけです。
起業した自営の妻(=1号)や
共働きで、自分も厚生年金に加入している妻(=2号)
には適用されませんので、注意してくださいね。
また、A子さんと同じ専業主婦であっても、3号ではない場合があります。
それは、夫が会社を退職してしまっているケースです。
例えば夫が定年退職し、今現在年金をもらい始めているのなら
夫はすでに2号ではありません。
3号は「2号に扶養されている配偶者」のことですので
夫の退職後も変わらず専業主婦であったとしても、妻は3号ではないのです。
3号ではない専業主婦に3号分割の制度は関係ないということなんです。
専業主婦イコール3号ではありません。
「専業主婦なら、夫の年金を半分もらえる」
という思い込みで、がっかりしないようにしてくださいね。
ここ最近、ニュースで「主婦年金」の問題が
盛んに取り上げられていますので、ご存じかもしれませんが
夫が会社を退職したら
妻は3号から1号に切り替える手続きをしなければなりません。
そのままにしておくと、保険料を滞納してしまいますので、注意してください。
今、年金をもらい始めている夫の話が出てきましたが
その関連の話をしたいので、少しだけ寄り道させてください。
年金には「加給年金」というものがあるのですが、聞いたことありますか?
厚生年金に20年以上加入している人が
年金を受給するときに加算される、家族手当みたいなものです。
家族手当といっても、一緒に住んでる家族がいれば
誰でももらえるわけじゃありませんよ?
受給開始時点で、生計維持関係にある65歳未満の配偶者か
子がいる場合に加算されるんです。
この「生計維持関係」「配偶者」「子」の解釈のしかたは誤解を招きやすいので
ここではあえて説明をしません。
知りたい方は、社会保険事務所に問い合わせてみてください。
条件さえ整えば加算される加給年金ですが
妻が65歳になると、ストップしてしまいます。
ただし、妻が65歳になり、加給年金がストップしても
妻の生年月日が
大正15年4月2日から昭和41年4月1日
に該当する場合に限っては
「振替加算」という形で、今度は妻の年金に上乗せしてもらえるしくみになっています。
といっても、加給年金として夫が受け取っていたときよりは
減額されてしまうのですが・・・・
それでも、もともと少ない年金の足しになるのですから
もらえるものなら、もらっておきたいところですよね。
振替加算としてもらい始めた分は
受け取る妻の老齢基礎年金(2階建てでいうところの1階部分のことです)
の一部として、この先ずっともらい続けることができるんです。
もし今あなたが65歳を間近に控え、夫が加給年金をもらっているのなら
離婚のタイミングは慎重に検討することをおすすめします。
本当なら、年金のためだけに離婚を先延ばしにすることは
得策であるとは思えません。
ですが、そうも言っていられない場合もあると思うんです。
女性が経済的に自立するのって、大変なことです。
離婚後の人生をわずかな年金に頼らざるを得ないのなら
自分の年金を少しでも増やす方法を選択することも、大切だと思います。
*ここでは妻が専業主婦であるものとして書いています。
厚生年金に20年以上加入している妻には
加給年金の話は関係ありませんので、ご注意ください。
それでは、期間Bにおける年金分割について
もうひとつの制度で説明していきます。
期間Bは、結婚してから平成20年3月31日までのことでしたね。
この期間は「3号分割」による分割ができません。
つまり夫の年金の2階部分を自動的に2分の1にはしてもらえないんです。
では、どうやって分割してもらうのでしょう?
それは、話し合いです。
夫婦で話し合って、按分割合を決めるのです。
按分割合というのは聞きなれない言葉ですが
これは、どんな割合で分けるのか、ということなんです。
按分割合の上限は、2分の1。
夫の2階部分の年金を、最大で半分まで分割してもらえるんです。
話し合いをする前には、必要な情報を入手してください。
社会保険事務所が情報提供をしてくれます。
これをもとに夫婦で話し合いをするのですが
合意に至らない場合には、話し合いの場を家庭裁判所に移します。
家庭裁判所に申し立てをする場合
社会保険事務所から提供された情報を、資料として添付しますので
失くさないように大切に保管しておいてください。
話し合いで按分割合が決まった場合は
「公証役場」という所へ行きます。
公証役場で「公正証書」または「公証人の認証を受けた私署証書」
を作ってもらい、
それを持って社会保険事務所へ行き
「分割改定請求」の手続きをしてください。
二度手間になるといけないので
公証役場や社会保険事務所へ行く前には
手続きに必要な書類や誰が手続きに行けばいいのか
を電話で問い合わせるなどして
十分に確認するようにしてください。
裁判所で按分割合が決まったら、「調書」というものを出してくれます。
按分割合が記載された書類です。
その調書を持って社会保険事務所へ行き
分割改定請求の手続きをしてください。
このときにもやはり、事前に必要書類などを確認するようにしてください。
分割改定請求には、タイムリミットがあります。
離婚が成立してから2年以内に、必ず手続きしてください。
~・~・~
加給年金のくだりで
離婚のタイミングを見計らうことをすすめるようなことを書きましたが
これは振替加算が関わってくる熟年離婚に限ったことです。
年金のためだけに、何年も離婚を先延ばしにするのは
あまり良いこととは思えません。
健康で、年齢的に無理がなく、自力で収入を得る手立てがある人なら
離婚後、職を探し、勤務先で厚生年金に加入して自分の年金を増やす方が
ずっといいと思います。
分割される年金は、老後の家計の屋台骨といえるようなものではありません。
離婚にはただでさえ相当なエネルギーを消耗するのですから
わずかばかりの年金を分割してもらうために労力を費やし
これ以上精神的な負担を増やすこともないと思うのです。
按分割合がすんなりと決まらないこともあるでしょう。
仲の良い夫婦の話し合いではないのですから
難航しても不思議ではありません。
年金分割の話し合いがままならないときには
思い切って諦めるのも1つの案です。
諦めきれない人を否定するつもりはありません。
ただ、どうしても諦められないという人は
それがなぜなのかをよく考えてみることも大切だと思います。
もしかすると、年金自体が必要というよりも
別れる夫に対する意地やプライド、執着心から
手放せずにいるだけなのかもしれませんよ?
手放すということは、負けることではありません。
手放すことは、自分が前へ進むための選択肢のひとつです。
一緒に暮らすことも苦痛なくらい嫌いな夫への感情によって
振り回されたり、消耗させられるのは辛いことですよね。
たしかに年金は、大事です。
でも、本当はどうしたいのか、一度じっくりと考えてみませんか?
*今回は、専業主婦をモデルに書きました。
共働きのご夫婦は、事情がかわります。
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Posted by なかにし ゆり at 14:19│Comments(0)
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